こまの話・いろいろ

こまのおっちゃんが各地の資料・収蔵品・聞き取りから考えてきた、こまをめぐる8つの話。

こまのおっちゃんが各地の資料・収蔵品・聞き取りから考えてきた、こまをめぐる8つの話です。

旧サイトの記録を読むにあたって

ここでは旧サイト掲載時の調査内容と館長の見方を大切に残しています。歴史の起源や年代には複数の説があるため、確定した学説だけを示す記事ではありません。新しい資料が確認できた場合は随時更新します。

こまは、どうしてお正月なの?

お正月が近づくと、こま回しを目にする機会が増えます。けれども、こまは本来、季節を問わず戸外で楽しめる遊びです。

旧サイトでは、冬に売る玩具としてこまが選ばれたこと、「心棒(辛抱)は金」「一本立ち」といった縁起のよい連想、さらに「お正月には凧あげて、こまを回して遊びましょう」という歌や新聞・テレビの影響が重なり、正月の遊びという季節感が定着したのではないか、と紹介していました。

寒い時期の子どもたちは、手のひらにこまをのせている間だけ追いかけたり逃げたりする「こま鬼」など、体を動かす遊びも工夫しました。博物館からの答えはシンプルです。こまは一年中遊べます。

たたきごまには、いくつ名前がある?

むちで叩いて回転を保つ「たたきごま」は、手作りされることが多く、日本各地でさまざまな呼び名が生まれました。館長は30年以上にわたり、各地の図書館の文献と現地のお年寄りへの聞き取りを重ねました。旧サイトには、2007年時点で約120の呼び名が記録されています。

旧サイトに採録された呼び名

いのりごま、うちごま、うっごま、うっちんごま、おーえ・くーる、おじょろごま、からはー、かりっこま、木ごま、きりきりまー、きんどっこごま、ぎんぼ、ぎんぼー、ぎんだんぼ、くーるー、くーるもーえ、げんぶ、げんぼー、げんぼちゃ、こば、ごーる、こーるー、こーろー、こま、ごま、こり、ころま、こんま、さくらごま、じぐり、じくーる、支那ごま、じだらんぼ、じだんぼ、じだらむぼう、じだんぼう、しっぺごま、しばきごま、しびきごま、しぶきごま、島まわしこ、しゃぎずんぐり、じゃじゃごま、しょんしょん、しわぎごま、しわぎずんぐり、じんぐり、じんだ、じんだー、じんだぐり、じんだごま、じんだんぼ、ずぐり、すぐるごーる、すぐいこーる、ずんぐり、ずんぐりこま、ずんだぐり、ずんぼごま、ずんぼうごま、せっこんごま(せきこみごま)、そしばい、たたきごま、たたきずんぐり、たっつけ、たんべ、だんべごま、ちごまわし、朝鮮ごま、ちょっぺごま、ちんぼごま、ちんぼっこま、ちんぼっここま、つんぐり、づんだぐり、てぐいま、てーぐるま、でんごへんごま、トゥム、どんぐり、どんぐりごま、どんべ、なぐりごま、なっしこま、ネンカチ、ばい、ばいごま、ばかごま、はたきごま、はちきんごま、はちごま、はったきごま、ぱっちんごま、はつりごま、びしごま、びっちょごま、びんば、ぶいごま、藤ごま、ぶしょうごま、ぶちごま、ぶつくりごま、ぶっくいごま、ぶっくり、ぶっくりごま、ぶっけんごま、ぶっちんごま、ぶつごま、ぶっごま、ふーるー、ぶんちん、ぶんぶんごま、べーごま、へどごま、べーぼー、ぼろごま、まかごごま、まーしっこ、まーしゅ、まわしこ、むちごま

このほか、商品名として「おっぱいごま」「安達ごま」「ひょうたんごま」「半鐘ごま」「父ごま・母ごま」「とがりごま」「両ごま」「おわんごま」「大正ごま」「道中ごま」「きのこごま」「みずがめごま」「花火ごま」「鳴りごま」なども記録されています。呼び名だけでなく、木の材質、むちの作り方、遊び方にも地域差があります。

お住まいの地域の呼び名や遊び方をご存じの方は、お問い合わせページからぜひお知らせください。

こまは、どこからやってきたの?

旧サイトは、日本の文献で「独楽」の語が早くに見られる例として、10世紀の『和名類聚抄』を挙げています。そこに記された「穴があり、音を出すもの」が、輪鼓(現在のディアボロ)なのか、竹製の鳴りごまなのかは定かではない、としています。さらに『大鏡』に描かれたこまを古型鳴りごまと捉え、後代に「唐ごま」と呼ばれたことから、中国由来とする説へつながった経緯を紹介しています。

一方、どんぐりに軸を刺すこまや、自然物から作るたたきごまは、世界各地でそれぞれ考え出すことができます。館長は「文献は、その時代にそのこまが存在した証拠ではあっても、最初の発明地をただちに決めるものではない」と考えてきました。こまは一つの場所からだけでなく、人の暮らしの中で各地に自然発生したのではないか。皆さんにも一緒に考えてほしい問いです。

胴輪ごま(鉄輪ごま)の刻印

木の胴に鉄輪をはめた投げごまは、回転力があり、多くの技に向いています。帯状の鉄輪には、製造者や大きさを示すと考えられる刻印が付いたものがあります。旧サイト掲載時に市販されていたものは「三つ輪印」が中心で、それ以前には「ひょうたん印」「こめ印」、収蔵品には桜や丸金の印も確認されていました。

刻印の数から「二ツ目」「三ツ目」などと呼ばれ、博物館には四ツ目、六ツ目、八ツ目もあります。旧サイトでは製造者への聞き取りとして、基本の大きさを1寸1分(約3.3cm)とし、半径が1分(約0.3cm)大きくなるごとに刻印を一つ増やした、という話を記録しています。

投げごまの歴史

旧サイトでは、現在の日本で広く遊ばれる、上面が平たく鉄の心棒が上下に通った足長型の投げごまが、江戸時代の元禄頃に博多地方で考案されたと紹介しています。この形を分類上「博多ごま」と総称することがありますが、福岡県の無形文化財「筑前博多独楽」は曲芸の流派名です。

長く手のひらで回せるこの形は、街角で人を集める客寄せにも使われ、やがて技の手本となる演者とともに流行しました。九州や海外には、上から投げて地面で回す西洋梨形の投げごまも多くあります。日本の足長型投げごまは、手のせやひもを使った多彩な技へ発展した点に大きな特徴があります。

九州けんかごま

けんかごまには、寿命を競う、ひもで操って相手に当てる、土俵の外へ出すなど、さまざまな遊び方があります。九州のけんかごまは、鋭く削った鉄の芯で相手のこまを割る勇壮な遊びとして知られました。芯は地域によって「けん」「じん」「根」などと呼ばれ、「かつお」「よき」「やり」「ひし」など複数の形があります。

形にも地方色があります。福岡系は上部が比較的平たい「ひらごま型」、大分・佐賀系は中央に突起のある「へそごま」、長崎系は上部が丸い「ぼうず」、熊本系は上部が尖った「とんぼ」「かぶと」と整理できます。危険を伴うため遊ぶ人や作り手は減りましたが、地域の技術と遊びを伝える貴重な資料です。

けんかごまの分類と地方色を詳しく読む →

苫小牧市の市章にある「こま」

北海道苫小牧市の市章は、片仮名の「ト」と「マ」を周囲に配し、全体で「コマ」を独楽の形に図案化しています。「ト」を「イ」とも読ませて市名につなげたデザインです。旧サイトでは、苫小牧市史をもとに、市章は1949年8月22日制定、市旗は1968年7月26日制定と紹介していました。

博多独楽より前のけんかごまを考える

旧サイトには、福岡県大野城市の御笠遺跡でこまが出土したという報道を受け、館長が現地を訪ねた記録があります。出土した村落は鎌倉時代から江戸初期まで存在し、こまは両側が尖った「両ごま」の形で、片側に芯を差したと考えられる穴がありました。

館長は、元禄期に足長型の投げごまが現れる以前にも、その原型となる投げごまが日本各地にあったのではないかと考えています。小刀や鎌で手作りできる形であることから、たたきごまの次の段階として各地に自然発生した可能性を探る、調査途中の記録です。

旧サイト「こまの話・いろいろ」の文章を、読みやすさと今後の更新性を考えて再構成しました。収蔵品写真と詳しい出典は順次追加します。